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「後世への最大遺物」の読書感想文

後世への最大遺物・デンマルク国の話 (岩波文庫)

(恐れ多くも若輩にして浅学な僕の読書感想文シリーズ)

「代表的な日本人」の著者である内村鑑三氏が、明治27年7月に行った講演をまとめたものが「後世への最大遺物」です。

個の分断化(個性重視の社会)が進む現代において、本書を読むことで心救われる人も多いと思います。

社会生活に悩みを抱える人、将来にばく然と不安を抱く人にとっては、文字通り「バイブル」的な書となるのではないでしょうか。

後世への遺物とは

この世に生を受けて、自身が後世へ遺せるものは何か。

ピラミッドや古墳のように自身の「名声」「地位」「偉業」「名誉」などを遺すのもいるだろうが、内村氏は「どれだけ地球を愛し、どれだけ世界を愛し、どれだけ自身の同胞を想ったかという記念物をこの世に置いて往きたい。少しなりともこの世に中を善くして往きたい。」と述べています。

何を後世に遺すのか

では具体的に何をもって後世への遺物とするのかと言えば次の3つをまず挙げています。

  1. 事業
  2. 思想(文学)

清き目的のために金を溜め、それを清きことのために用いる、つまり富を国家(社会)のために使える実業家になること。

それが本当の"実業家"であると述べていますが、実業をもって金を溜め、金を使うのは一種の才能であると述べています。

分かりやすくいうとビルゲイツのような欧米の資産家の寄付や事業投資(私益ではなく公益にために行っているものと信じて)がそれに当たるでしょう

事業

金を溜める才能がない、金を溜めても遺すことができないならば、精神を籠めて「事業、しかも土木的の事業(≒インフラ)」がよいと述べています。

実際に私たちの生活に欠かせないインフラは、名の分からない大勢の人や事業によって整えられているように、事業やインフラは後世に遺され、引き渡され、改良されています。

インターネットや通信は現代の土木的の事業に含まれるのかもしれません。

思想(文学)

金を溜める才能もなく、事業をなすための社会上の位地もない人は、「著述をすること、学生を教えること」で思想を遺すとしています。

自分が心のありのままに、仮名の間違いがあろうが、文法に合うまいが、かまわないで書いた文、鬱勃たる思想が籠もった心のままに書いた文学ならば誰でも遺すことができる。文学にすることで後世へ遺すことができる。

文学や教育も誰もができるものではないですが、金を溜めることや事業を成すことよりも独立でできること故にやさしいとしています。

最大の遺物とは

後世への遺物として「金」「事業」「思想(文学/教育)」を挙げましたが、内村氏はどれも"最大"の遺物にはならないとしています。

最大遺物とは、誰もが後世に遺すことができる「勇ましい高尚なる生涯」であり、出遭う艱難に感謝し、種々の不都合、種々の反対に打ち勝ち、その生涯を世の中への贈物としてこの世を去ることだと示しています。

信じた主義を真面目に実行する

本書を読み進めて、最初は私にとって「清い目的」や「勇ましい高尚なる生涯」という言葉が非常に高いハードルに感じ、私のような凡庸な人にとっては非常に難しいように感じました。

ですが、「アノ人はこの世の中に活きているあいだは真面目なる生涯を送った人であるといわれるだけのことを後世の人に遺したいと思います。」本書が締められているのを見て、私自身が行動もせずに難しく感じているだけなのだと気づきました。

何が正解で何が正しいのかを考えるよりも、まず自分に場合は、恥ずかしながら信じる主義を改めて見つめること、またこれまでそのようなことを考えずに生きてきたことに負い目を持つことから始めることにします。

次の読書感想文

「後世への最大遺物」から学ぶ事は非常に多かったのですが、元の文章力の低さもあり、感想文としてまとめるのが非常に難しかったです汗

これぞ「百聞は一見に如かず」の書物なので、ぜひ本書を手に取ってみてください。

次は「武士道の逆襲」「すらすら読める風姿花伝」のどちらかを紹介できればと思います。

後世への最大遺物・デンマルク国の話 (岩波文庫)

後世への最大遺物・デンマルク国の話 (岩波文庫)

  • 作者:内村 鑑三
  • 発売日: 2011/09/17
  • メディア: 文庫