Hohem iSteady V2レビュー!ライト付き、AI自動追跡搭載の多機能3軸スマホジンバル
ミラーレス一眼のSONY α6400を購入してからというもの、撮影機材に対する物欲が止まらなくなりました。最近は動画撮影をしたい気持ちが高まり、α6400に使えるジンバルを買ってはみたものの、事前のセットアップの手間を考えると持ち出すのが億劫になり、"より手軽に撮影するために必要な撮影機材"をテーマに物色しています。
現在は、今のスマホよりも色味がよく光学式手ブレ補正が搭載されたPixle 5a(5G)への買い替え、手ブレ補正搭載のTamron 17-70mm F/2.8(Model B070)、ジンバル一体型カメラのDJI Pocket 2が買いたいリストの有力候補です。
ですが、機能的な重複や結果的に使わなくなってしまう可能性も考えると、手持ちのスマホにスマホジンバルを組み合わせれば、スマホの買い替えもDJI Pocket 2も買う必要はないのではないか?、という選択肢も考えるようになりました。
そこで、有名なジンバルメーカーのほうが後悔は少ないだろうとDJI・ZHIYUN・FeiyuTech・Hohemに絞り、検討時点で最も新しい製品だった「Hohem iSteady V2」を手に入れてしまいました。
前置きが長くなってしまいましたが、「Hohem iSteady V2」はどんな特長を持つのか、初心者でも扱いやすい製品なのかレビューにまとめましたので、スマホジンバルの購入を検討している方にとって少しでも参考になれば幸いです。
Hohem iSteady V2を開封してみる
外箱に描かれた「Hohem iSteady V2」から、どんなスマホジンバルなのか想像できますね。タイトルで既に記載していますが、「Hohem iSteady V2」は本体にLEDライトとAI自動追跡センサーを搭載したスマホジンバルです。
実際の使用感は後半に記載しますので、まずは開封から同梱物、そして製品のスペックから確認していきたいと思います。
セット内容
まず外箱もしっかり作られていたので、プレゼントとして贈っても高級感もあって喜んでもらえそうな気がしました。黒以外に白のカラーバリエーションも用意しているのもグッドです。
同梱されていたセット内容はご覧のとおりです。USB-Cケーブルはジンバル本体の充電用だけでなく、Androidスマホへの給電用ケーブルとしても使えます。また、USB-A変換アダプタも付ければ、USB-A to USB-Cケーブルとしても使用可能です。
- ジンバル本体
- ミニ三脚
- USB-Cケーブル(約30cm)
- USB-A変換アダプタ
- 専用ポーチ
- ハンドストラップ
- 取扱説明書(日本語あり)
スペック一覧表
項目 | スペック |
---|---|
ペイロード (積載重量) | 280g |
可動範囲 |
パン軸:320度 |
バッテリー容量 | 2800mA |
動作可能時間 | 最大9時間 - AIセンサー使用時:4時間 - AIセンサー&LEDライト使用時:2時間 |
充電時間 | 2時間(5V/1A) |
スマホのサポートサイズ | 厚さ:11mm 幅:55mm〜90mm |
搭載機能 | AIビジュアルトラッキング LEDライト |
モーション | ジョイスティック操作 パンフォロー パン&チルトフォローモード POVモード アングル固定 インセプションモード |
大きさ (幅×奥行き×高さ) | 展開時:79mm×39mm×230mm 収納時:79mm×39mm×179mm |
重さ | 263g |
Hohem iSteady V2の特長
「Hohem iSteady V2」がユニークなのはLEDライトとAI自動追跡センサーを搭載していることですが、他にもスマホジンバルとして魅力的な特長がいくつかあります。
軽くてコンパクト
とりあえず本体だけ手にとってみましたが、めちゃくちゃ軽いです。
ジンバル本体の重さは263gとのことで、イメージとしては細い缶ジュース(レッドブルとかMAX COFFEEとか)くらいです。
同時期に比較検討したスマホジンバルの「DJI OM 4」は390g、磁気クランプと磁気リングホルダーも加わると432gとなるので、その半分の重さで使えるスマホジンバルということになります。
収納時はスマホ一台分くらいのサイズ感になるので、ベビーカーで散歩する時もサクッと手軽に持ち出しやすくなりました。
ペイロードは280g
ペイロードとはジンバルの上限積載重量のことをですが、「Hohem iSteady V2」は280g以内に設定されています。
iPhone 12 Pro Maxでも226gなので、ほとんどのスマホは問題なく対応しています。スマホによっては、ケース付きでも280g以内ならOKです。
ジョイスティック付きの直感的な操作性
軽量かつコンパクトながら、ジンバルとして必要な機能はほぼ全て搭載されており、操作も難しくありません。
スマホと「Hohem iSteady V2」をBluetoothでペアリングしておけば、シャッターボタンを介したスマホのリモート撮影も可能です。
操作と機能の組み合わせは、使う過程でなんとなく覚えていくので、初めから全て覚える必要はありません。しかも使う機能は固定されていくと思うので、実践が一番てっとり早いです、
専用アプリ(後述)でなければ使えない機能や設定(例えばモーターパワーの制御 etc.)もありますので、必要に応じで使う幅を増やしていくのが良いでしょう。
ボタン | 操作 | 機能 |
---|---|---|
ジョイスティック (中央) |
自由移動 | チルト軸/パン軸の制御 |
電源ボタン (中央右) |
長押し | 電源オン/オフ |
1回押し | 縦撮り/横撮りの切り替え | |
2回押し | ジンバルを初期位置へ戻す | |
3回押し | インセプション(自動回転) | |
5回押し | 自動キャリブレーション | |
7回押し | リモコンのペアリング | |
シャッターボタン (中央左,Bluetooth接続時) |
1回押し | 写真/動画の撮影開始/停止 |
2回押し | 写真/動画の切り替え | |
3回押し | 前面カメラ/背面カメラの切り替え (専用アプリのみ) |
|
シャッターボタン長押し +電源ボタン操作 |
1回押し | パン&チルトフォロー (上下左右,デフォルト) |
2回押し | パンフォロー (左右) |
|
3回押し | オールロック (固定) |
|
4回押し | POV (上下左右斜め/オールフォロー) |
|
ズームスライダー (側面T/W,専用アプリのみ) |
上押し | ズームイン |
下押し | ズームアウト |
トラッキング機能を搭載
「Hohem iSteady V2」の目玉機能がトラッキング機能です。
写真の本体上部にAI自動追跡センサーを搭載したカメラがあります。そのカメラに顔を向けた状態で決められたジェスチャー(手の動き)を見せると、認識した顔をトラッキングし始めます。自撮りやVlogにおすすめです。
プリセットされたジェスチャーはトラッキング開始を含め全部で4種類あるので、離れた位置からリモートコントロールできるので便利です。
ちなみに、ジェスチャーを使ったリモートコントロールは、専用アプリやBluetooth接続がなくとも使用可能であることも利点に感じました。
ジェスチャー | 動作 |
---|---|
片手でOKサイン | トラッキング開始 |
片手でパー | トラッキング終了 |
両手でグッドサイン | スマホ位置が横に ※デフォルト位置 |
両手のグッドサインを横に倒す | スマホ位置が縦に |
輝度調整できるLEDランプ
特に自撮りメインの方におすすめの機能ですが、「Hohem iSteady V2」にはLEDランプも搭載されています。
ライトの輝度は弱/中/強の3段階で調整できるようになっており、状況や環境に合わせて調整できます。
USB-Cのモバイルバッテリーにも変身
「Hohem iSteady V2」には2,800mAhのバッテリーが内蔵されています。ジンバル単体ならおよそ9時間、顔追跡カメラと撮影ライトを一緒に利用する場合は2時間のバッテリー容量です。
内蔵バッテリーはUSB-Cケーブルから接続したスマホに給電することができるため、簡易なモバイルバッテリーとしても使用可能です。
カメラアプリで撮影しているとスマホのバッテリー消費も早いため、バッテリー残量に不安が生じたときは緊急バッテリーとして補給できる選択肢も持てるのは嬉しいポイントです。
Hohem iSteady V2を使ってみた感想
実際に「Hohem iSteady V2」を使ってみた感想としては、性能としては十分すぎると感じました。ジンバルは重いほど安定すると言われていますが、約263gと軽いながらも手ブレもよく軽減されていたように思います。
今回は重さ202gのiPhone 8 Plusで使ってみましたので、特に使用感が気に入ったポイントを紹介します。
バランス調整が簡単
これまで使用したカメラ向けのジンバルはバランス調整に手間取ることがありました。カメラだとレンズの大きさやアクセサリーの大きさに合わせて、その都度ロール軸/チルト軸/パン軸をそれぞれ調整しなければいけないので、事前に準備する時間がなければなかなか持ち出すことが難しいです。(計画的に持ち出す必要がありました)
「Hohem iSteady V2」ならスマホの中央にスマホクリップを挟むだけでほぼバランス調整が終了するため非常に簡単です。外出先でも、その場で取り付けすぐ撮影できることに魅力を感じました。
AIトラッキングの精度とスピード
トラッキング機能は優秀です。早い動きにも遅延なく追従するので、歩きながらのVlogにもぴったりです。
個人的には自撮りをすることはないので、背面カメラ(スマホのメインカメラ)にした状態でトラッキング機能をオンにするとPOV撮影(Point Of View,主観ショット)ぽく遊んだりしました。
ちなみに、トラッキング機能を使わなくても専用アプリを使えば「顔トラッキング」「エリアトラッキング(トラッキングエリアの任意選択)」で被写体を追いかけることは可能です。(アプリの詳細は後述)
「Hohem iSteady V2」のAIは人間の顔と人形の顔をはっきりと区別するようです。トイ・ストーリーのウッディを映し、ジェスチャーを試みたのですが、認識することはありませんでした。
顔を認識しないのか、上半身が小さい(≒無い)と判断したのか分かりませんが、背景に人形やぬいぐるみを置いて撮影を考えている方でも誤認識する心配はなさそうです。
アプリ(Hohem Pro)が便利で使いやすい
「Hohem iSteady V2」はHohemの純正アプリ「Hohem Pro」(App Store / Google Play)を使わなくても、トラッキング機能やジンバル操作を行うことが可能です。(初回のアクティベーション時に「Hohem Pro」のインストール及び設定は必要)
ですが、「Hohem Pro」も十分使いやすく、機能や設定も充実しています。これまでプリインストールされていたデフォルトのカメラアプリを使っていましたが、今後はジンバルを使わないときでも「Hohem Pro」を使い続けることになりそうです。
ジンバルとペアリングしなくても使える、「Hohem Pro」の主な機能や設定項目はご覧のとおりです。撮影時のフレームレートに合わせたシャッタースピードや露出やホワイトバランスを固定にできるマニュアル設定も便利です。
アクティベーションも簡単
「Hohem iSteady V2」を使うにはアクティベーションが必要なのですが、手順は至って簡単です。
- スマホのBluetoothをオンにする
- インストールした「Hohem Pro」を開く
- 「Hohem iSteady V2」の電源を入れる
- アプリ画面に表示された手順に沿って進める(アカウント登録も行う)
- 完了
一度アクティベーションすれば、スマホを変えても同じアカウントであればすぐに使うことができます。試しにiPhoneとAndroidスマホで切り替えましたが、アプリでログインするだけですぐ利用できるようになりました。
手ブレ補正能力の必要十分
最後に手ブレ補正の性能について確認してみましょう。最初に手持ち撮影、次にジンバル撮影、最後はピクチャ・イン・ピクチャで手持ち撮影とジンバル撮影を同時比較できる簡単な動画にまとめました。
iPhoneにはもともと強力な光学式手ぶれ補正が搭載されているので、他のスマホと比べてもブレにくいのですが、「Hohem iSteady V2」に載せるとさらにスムーズな動画を撮影することができます。
ただし、「Hohem iSteady V2」に限った話ではないですが、スマホジンバルは軽いので歩行中の縦振動はそこそこ伝わります。(次の動画も参考になるかも)
動きには多少の制限も
スマホの設定を誤って白飛びしまくっている動画になってしまいましたが、注目してほしいのはそこではありません。
使っているうちに「ん?」と思う部分も出てきたので、特に気になったポイントをまとめます。
- たまにカクっとした動きになる(1:05〜の横移動中)
- 可動範囲の制限をたまに受けてしまう(パン軸:320度/ロール軸:320度/チルト軸:270度)
→カメラ用の大きなジンバルだと可動域が広いので動きがもっと自由になります - アプリ利用時にスマホがそこそこ発熱する
→iOS/Android OSどちらでも発熱を確認できたので、ソフトウェアのアップデートで解消する問題ならぜひとも解消してほしい
1と2は慣れによって解消する部分でもあるので、使い込んでみようと思います。
十分すぎるスペックと使いやすさが魅力のスマホジンバル
スマホジンバルの中では比較的高い価格帯の「Hohem iSteady V2」ですが、基本的なジンバル性能の高さに加えて、独自のAIトラッキングやLEDライトも搭載していることを考えると、同価格帯のジンバルの中でもコスパの高さが光ります。
何よりも持ち出しやすいコンパクトサイズが、動画撮影のハードルを下げてくれるので、ジンバル撮影をうまくなりたい人にとっても良い機種だと思いました。もちろん、自撮りメインの方には超おすすめのスマホジンバルです。
一方で普段から自撮りをしない方には、LEDライトとAI自動追跡センサーのない「Hohem iSteady X2」がおすすめです。「Hohem iSteady V2」より5,000円安く、1万円を切る価格ながら同性能・ほぼ同機能を有していますのでコスパ高すぎです。
どちらにしてもスマホジンバルとしては非常にクオリティが高い製品ですので、自身の利用シーンに合わせて比較検討してみてください。