「代表的日本人」の読書感想文
(恐れ多くも若輩にして浅学な僕の読書感想文シリーズ)
日本を代表する思想家の1人、内村鑑三先生の英文著作「代表的な日本人」の日本語翻訳(岩波文庫)を読みました。
直近で新渡戸稲造先生の「武士道」、三島由紀夫先生の「葉隠入門」に出会い、明治以前の日本/日本人に関心を抱いているタイミングで出会った名著です。
代表的日本人五傑
本書では具体的なエピソードを交えながら、各偉人の人物像を中心に紹介されています。※敬称略
中江藤樹先生に惹かれる
いずれのエピソードを読んでも心にグッと響くもの、感じるもの、学ぶものが沢山あるのですが、中でも中江藤樹先生に最も感化されました。(藤樹全書など現代で読まれておる書籍が少ないのが本当に口惜しいです)
恐れ多くも、私が関心を持って「もっと深く知りたい」「関連書を読みたい」と思わされた順に並べ替えました。
年を重ねて読み直すと、またこの順番も変わるのでしょう。
代表的日本人の共通点
本書で紹介されているエピソードを読み、5人の先生方に共通しているものを4つ紹介したいと思います。
質実剛健/堅忍不抜
揺るがない信念、強い使命感、質素倹約な生活など、「質実剛健/堅忍不抜」を身をもって、生涯を通じて実践していた方ばかりです。
「信念を曲げるくらいなら死を選ぶ」
社会に、人に、家族に、公益のために、それだけの覚悟と責任と信念を携えて、体当たりしているものがどれだけあるだろうと恥ずかしくなりました。
徳を積むこと
中江藤樹先生のエピソードで紹介されている「積善」が特に印象的だったので紹介します。
「日々自分に訪れる小善をゆるがせにしない。大善も出会えば行う。ただ求めようとしないだけである。大善は少なく小善は多い。大善は名声をもたらすが小善は徳をもたらす。(中略)実に徳に勝る善事はない。徳はあらゆる大善の源である。」
依法不依人
日蓮上人のエピソードでは「依法不依人」を「真理の教えを信じ人に頼るな」と紹介されています。
大西郷のエピソードでは「天を相手にせよ、人を相手にするな」とも。
上杉鷹山先生も二宮尊徳翁も中江藤樹先生も真理の教えを信じ、弛まない努力/探究心を積み重ね続けた方々でした。
利他
そしていずれの信念/行動規範が「自分を利することでなく民/人を利すること」から始まっていることです。始まるというより、そもそも利己心なるものは存在しなかったのかもしれません。
本書の「民/人を利すること」は一種の親心、子供を独立させるために厳しくも温かく師事する/尽くすことを指しており、常に師事する先生が治世をする封建制度(最近だと家族経営)の良さを感じたのでした。
余談ですが、エイブラハム・リンカーンの有名なゲティスバーグ演説(「人民の人民による人民のための政治 」)に出てくる「人民」は1人1人を独立した個としている一方、従来の日本的政治の「人民」は我が子と捉えているのかもしれないなぁという気づきもありました。
次回の読書感想文
今は「葉隠入門」の読み直し、「賃労働と資本」「すらすら読める風姿花伝」を並行して読んでいるので、読み終えて整理できたものから読書感想文として発表したいと思います。
拙い文章にお付き合いいただき、ありがとうございました。